場面緘黙症

A Record of Selective Mutism

■ 対象情報 (Subject Info)

場面緘黙症 (Selective Mutism)

不安症の一つ

家庭などでは話せるが、特定の社会的状況(学校など)で話せなくなる状態

2025 . 10 . 11

■ 詳細記録 (Detailed Record)

概要と特徴

話す能力はあるにもかかわらず、家のような安心できる状況では話せるのに、学校や園など特定の社会的状況では一貫して話すことができなくなる状態を指す。単なる人見知りや、意図的に話さない「無視」とは異なり、強い不安によって話したくても声が出なくなってしまうのが特徴。

主な症状の例

  • 学校の教室や先生の前では全く話せないが、家ではおしゃべり。
  • 話しかけられても、頷いたり、首を振ったり、指をさしたりして非言語的に伝えようとする。
  • 話すことを求められると、表情がこわばり、体が固まってしまう(凍りつき反応)。
  • 友達と遊びたい気持ちはあるが、声が出せないために関わりの輪に入れない。

サポートと工夫

本人の不安を軽減し、安心できる環境を整えることが最も重要。

  • 話すことを強要しない: 「なぜ話さないの?」と問い詰めたり、無理に発言させたりすることは、不安を増大させるため避けるべき。
  • 非言語コミュニケーションを認める: 筆談、ジェスチャー、頷きなど、本人が使える伝達手段を尊重し、コミュニケーションを確保する。
  • スモールステップでの成功体験: まずは小声で一言、特定の一人にだけ話すなど、達成しやすい小さな目標を設定し、自信を育む。
  • 学校との連携: 教師に場面緘黙について理解してもらい、発表を無理強いしない、答えやすい質問をするなどの配慮を依頼する。

原因についての考察

気質・遺伝的要因

場面緘黙の根本には、生まれ持った不安になりやすい気質(行動抑制的な気質)や、社会不安症との強い関連があると考えられている。親族に不安症を持つ人がいる場合が多いことも報告されており、遺伝的な要因も関与する可能性が指摘されている。親の育て方や家庭環境が直接の原因ではない。